CONCEPT
未来デザインラボとは、「未来を創造する場所」を意味します。中心となるのは、住宅会社「ラ・カーサ」、建築設計事務所「センブンノイチ(1/千)」、マッチングプラットフォーム「SUVACO」。建築を始めとしたアカデミックな視点とデザイン的思考によって、未来に創造していくべき「生き方」「風景」を考え、 実践していきます。
わたしたちが思案するのは、既存の社会の枠組みを超え、新しい価値観を創出するプロジェクト。これらは単一分野の知識・発想によっての成功は困難です。
未来デザインラボでは建築を始めとし、不動産、ライフスタイル、経済、社会システム、歴史、法律、メディア、ブランドデザインなど、各分野の専門的な知見が集まる場をつくることで、問題解決力を高めています。
また、未来デザインラボのもう一つの側面として、これからの未来をつくる若い世代との連携があります。わたしたちは、二つの意味で大学と社会とをつなぐ場でありたいと考えています。
一つは学生との関わり。学生に実社会の中でプロジェクトを遂行する場を提供すると同時に、ラボでの活動に若い世代の視点を取り入れることを目的とします。
二つ目は、大学研究との連携。ラ・カーサや連携する不動産会社の存在を活かし、新たな生き方や風景を模索する研究者に対し、実践を見据えたサポートおよび協働をする場所を目指しています。
INTERVIEW
100年後の暮らしを、今から本気で考える「未来デザインラボ」とは?
2018年7月の初め、名古屋市某所に3人の男たちが集まった。彼らは来る8月21日に誕生する「未来デザインラボ」の仕掛け人たち。このラボは、どうやら50年後、あるいは100年後の未来の風景をつくるため、これから様々な企てを仕掛けていくらしい。いったい彼らは何者なのか、何を目指しているのかを語り合ってもらった。
何やら密談中?
司会(SUVACO編集長・松本):
2018年8月のオープンに向けて、「未来デザインラボ」が目下進行中ですが、このラボについては未だ全貌が謎に包まれています。そこで今日は、仕掛け人であるお三方にお集まりいただいて、未来デザインラボとは何か、何を目指しているのかを存分に語っていただきたいと思います。
その前に、皆さんが普段何をされているのかをまずはお聞きします。まずは発起人である間宮さんから。
間宮晨一千さん(まみや・しんいち、以下敬称略):
私は大きく分けて3つの活動をしています。1つは建築家として、建築・設計の仕事をしています。
建築家・間宮晨一千さん
2つ目は、大学の講師としての顔。私のゼミでは、主に観光の空間や人が賑わう場所についての研究を行っています。そしてもう1つ、「なごや朝大学」という社会人向け講座の運営に携わって、名古屋の魅力的なひと・もの・ことを紹介しています。
熊澤治夫さん(くまざわ・はるお、以下敬称略):
私は材木屋の4代目なんです。私が経営する株式会社ラ・カーサは1902年創業で、今年で116年になります。大量生産ではなく、一点ものと呼べるグレードの高い住宅を設計から施工まで手がけています。
株式会社ラ・カーサ代表 熊澤治夫さん
また、住宅のほかにカフェやセレクトショップなどの店舗も運営しています。飲食店はお客様が集まれる場所としても活用しており、ラ・カーサで家づくりをされた方々をお呼びして、BBQなどのお食事会も催しています。
実はお米も作り始めているんです。日本で一番おいしいお米を作りたい。自分たちで精米して、パッケージして、ラ・カーサOBの方々に原価でお届けしています。家をつくって終わりではなく、その後の暮らしもつなぐ存在でありたいと思っています。
黒木武将さん(くろき・たけゆき、以下敬称略):
私はもともと金融業界の出身で、証券会社を経た後、ベンチャーとしてSUVACO(スバコ)を立ち上げました。金融業界では、大型の案件やグローバルな仕事もさせてもらっていましたが、どうも手触り感が足りないと感じるようになって、2013年にSUVACOを立ち上げるに至りました。
SUVACO株式会社 代表 黒木武将さん
私自身、かつて家づくりを経験したときに、家に不満があってもどうしてよいかわからず、誰に聞けばいいかもわからない状況でした。こうした情報の混乱を解決できるなら、仕事としてもやりがいがあるし、新たなマーケットをつくれるのではないかと考えました。
サービスを立ち上げる前、いろんな方のお話をお聞きしたのですが、特に若い建築家のなかには先行きに閉塞感を抱いている方が多かった。そこで、家をつくりたい一般ユーザーと、それを実現してくれる住まいの専門家とをつなげるSUVACOというサービスを立ち上げました。
未来デザインラボが立ち上がった経緯
司会:
そもそもなぜ「未来デザインラボ」が生まれることになったのでしょうか?
間宮:
以前、不動産業をやっている父親の土地を題材に、「未来の風景をつくる」という学生実施コンペを主催したことがあります。学生たちからプランを募り、実際に3棟の家づくりが実現しました。非常にやりがいはありましたが、難しいプロジェクトでもあり、自分たちだけでやる限界も感じたんですね。
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そこで今回、ラ・カーサの熊澤代表に、自分たちで何か社会に対して問いかけるようなプロジェクトをやれないでしょうか?とお声がけさせていただきました。
司会:
なんとも壮大なお題ですが、間宮さんからオファーを受けたとき、どうお思いになられましたか?
熊澤:
最初は何をやるのかな?と思いましたけど、拠点となる日進市や長久手市というのは日本で最も世帯年齢が若い人たちが住んでいる街なんです。自社の拠点としても、面白い場所だと思いました。
間宮さんは大学でも教えていらっしゃいますが、異色の先生だと思います。私自身は、ほかの建築学科の先生とも様々なお付き合いはありますが、家を作品と捉えることに多少の違和感を抱いてました。作品ではなく、家は「人が暮らしていくための器」、ひとり一人の家族があるということをラ・カーサでは大事にしています。その点において、間宮さんとは考えが一致しました。
間宮さんからこのお話をいただいた時に、大学の先生だからぜひゼミをやってほしいと言いました。若い人たちは5年後、10年後の顧客です。そういう人たちとコミュニケーションをとっていく必要があると感じました。
間宮:
大学で教鞭を執っていて常々思うのですが、建築学科では建築士の資格を取るために学ばなければならないことがたくさんありすぎて、今の学生たちはライフスタイルや暮らしを知る機会が不足していると感じています。ラ・カーサが扱っている家具など、センスのあるライフスタイルや暮らしの概念は大学ではなかなか教えることができません。日本の暮らしの貧しさはそこから来ている面もあるのではないでしょうか。だからこそ、未来デザインラボはそれらを学べる場所にしたいですね。
このインタビューは、2018年8月8日にSUVACOに掲載された記事からの一部抜粋です。続きは以下のリンクよりお楽しみください。
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