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オープンゼミ:「街の豊かさをつくる新しい仕組みづくり④」

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付添人:小堀雅康氏(株式会社デンソー)
参加学生:8大学45名の大学生、大学院生(11チーム)
参加社会人:11名(メーカー、建築関係、行政など様々なバックグラウンドの方が参加)

 

【目的】
全4回で「街の豊かさをつくる新しい仕組みづくり」を考えるゼミ。第4回目は、実現したい暮らしを叶えるためのサービスを考える。名古屋市で住みたいエリア第5位となった名古屋市緑区にある鳴海の街を舞台に、具体的なエリアでの暮らしを想定してみる。人はどんな暮らしを望んでいるのだろうか。この後も続いていくゼミに臨む姿勢を学び、より充実したものにしようというもの。学生たちの思考がどのようにほぐされ、他者の思考に刺激されていくのか?約2時間にわたるセッションと、学生たちによる意見の交流を振り返る。

 

 

【想定エリア】
名古屋市緑区諸の木二丁目における敷地周辺
地下鉄徳重駅から徒歩30分程度

 

 

【方法】
ステップ1.街のサービスを紹介する
前回は、鳴海で実現したい街の暮らしと、それを叶える手段について、いろんな角度からアイデアを出していった。そして、これらを街のサービスとしてまとめてくることが学生たちへの課題となった。今回は学生たちが考えてきた街のサービスのアイデアを社会人に向けて発表し、グループ内で意見交換しながら内容を検証。さらに深掘りしていくことからワークショップがスタートした。

 

 

<発表例>
「誰でも掲示板&誰でも広場」
広場の前に電子掲示板を設置し、専用アプリを通してイベントの予定などを掲示。予約制で広場を自由に利用でき、付随するスポーツ・レジャー用品の低額貸出も行う。

①内容のポイント
・安価にイベントを開催でき、地域を巻き込んだ楽しい空間を創出できる。
・地域性は高まる一方で、ゴミや騒音・治安問題のリスクもある。
②出てきた意見
地域力の向上にはとても良い。マルシェや朝ヨガなど、誰でも集まれるイベントが定期開催されたり、他地域の人との交流もできるようになると、さらに良くなるのでは?
「ご近所さんと協力、子供用タクシー」
子供専用の送迎サービス。地区ごとに登録制とし、送迎をお願いしたい利用者と、送迎可能な担当者(近所の人や地元タクシー会社)をマッチングする。

①内容のポイント
・親の負担と、子供が夜道を歩く危険性が減る。
・近所同士の助け合いが生まれる一方で、安全性や個人情報の問題がある。
②出てきた意見
地元タクシーを活用するのは良いと思う。これに託児機能があったり、子育て世代がこのサービスを通してつながり、交流イベントができるようになると、さらに良くなるのでは?
「まちの書庫」
まちの人の本を集めて書庫を作り、登録すれば誰でも自由に本を預けたり借りたりできる。

①内容のポイント
自分の本を手放したくない人に良い。本の好みが似ている人と出会うことができる。
「在宅ワーカーの拠点と学童の役割を担うカフェ」
まちの住人とまちに関わる企業でカフェを運営。仕事場や学童やサロンとして住民が利用できる。

①内容のポイント
子どもが安心して過ごすことができ、多世代間での交流が生まれる。
②出てきた意見
書庫とカフェを合体した施設にすれば、さらに良くなるのでは?

 


▲まずは学生が社会人にプレゼンテーション。社会人は一般企業、行政などに所属の方にご参加いただく。

 


▲社会人と学生が議論している様子。

 

 

 

 

ステップ2.ストーリーをつくる
社会人からの、より現実的な意見やアドバイスを踏まえて、まちのサービスをさらに深掘りしていくために、サービスをめぐるストーリーを次のような流れで作ってみることになった。


例えば、「お手伝いシェアリング」というサービスであれば、家事と育児などで疲れてしまった時に、スマホで申し込みをすれば近隣に住むサービス提供者とのマッチングが行われ、掃除を任せて自分の時間を作ることができる。それによって精神的な余裕が生まれることが利用者の喜びだ。ここで言う困りごととは、ネガティブなことに限らず欲求であっても良い。また、サービスの価値として利用者が感じる喜びは、「楽になる/便利になる」からではなく、それによって生まれた時間や余裕で、新たな楽しみができからだということを忘れてはならない。そのサービスが街の中でどのように機能し、それによって街の人たちの暮らしがどのように潤っていくのかを具体的なシーンとして切り出し、ストーリーを作ることで、より現実的なサービスの姿が見えてくる

 

<発表例>
「ミニマル・ライフ」
急に必要になった物、一時的に必要な物、買う前に試してみたい物など、一定期間だけ使いたい物がある時に街の中でレンタルし合えるサービス。申込や貸出はアプリで行い、レビューを付けてサービスの質を確保する。配達や回収は自動運転車を利用して行う。街の人たちと物を共有することで、手元の荷物を減らすことができ、ミニマルな暮らしを実現できる。サービスの提供者となる企業や自治体は、手数料やデータ収集などのメリットが考えられる。課題は壊れた時の対応や、行事用品など需要が偏るときのストックの調整や、需給バランスをどうするかと言うこと。

「健康を増幅する街」
他エリアに比べて大きな病院が多い鳴海周辺の地域性を生かし、病院間をつなぐ医療コミュニティコアとなる。この公共施設では、自分の症状から病院に行くべきかどうかを事前に相談できるサービスや、簡単なリハビリを受けられるサービス、信頼できる医療情報を得られるサービスなどが考えられる。高齢化社会に向けて、病院での待ち時間や混雑を回避することができ、行政と一緒になって予防医療にも取り組むことができる。課題は常駐する医療資格者をどう確保するか、医療サービスとしてどこまで実現できるかと言うこと。

 


▲ストーリーシートには、サービスシーンを漫画で描く。どんなサービスになるのか?困ったことは発生し得るのか?具体的な場面を想像しながら抜け漏れなく考える。

 

 

 

ステップ3.サービスをまとめ、発表する
サービスをより具現化していくために、次のようなもう一つのストーリーも同時に考えて発表した。


今回のセッションで社会人が加わったことによって、アイデアの方向性が変わっていったというグループも多々あった。自分たちだけで考えてきた中で疑問が見えづらくなっていたところを、第三者にも見てもらうことで、どこに向かうべきかがより明確になっていった。今後は各自でグループワークを重ね、1ヶ月半後には中間発表、そして12月中旬には最終発表が行われる。学生たちがまとめ上げてくる内容に期待したい。

 

<発表のスタイル>
自分たちが望む「街の姿」と、実現したい「暮らし」とは
そのために必要なサービスとは
具体的な内容や仕組みとは
サービスが利用されるシーンとは

 



▲全体での発表の様子。

 

 

主催:中電不動産株式会社
協力:株式会社デンソー
企画・運営:未来デザインラボ(株式会社ラ・カーサ、1/ 千、SUVACO 株式会社)

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