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オープンゼミ:「街の豊かさをつくる新しい仕組みづくり⑤」

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付添人:小堀雅康氏(株式会社デンソー)
参加学生:8大学45名の大学生、大学院生(11チーム)
参加社会人:27名(20-30代の主婦、ワーキングマザー)

 

【目的】
全4回で「街の豊かさをつくる新しい仕組み」を考えるゼミ。4回にわたるオープンゼミを終えて、今回は生活者の意見を聞く機会が与えられた。名古屋市で住みたいエリアのひとつ、鳴海の街を舞台に想定した理想の暮らしと、そこで必要とされるサービスとは何か。これまでのゼミを通してまとめてきた学生たちのアイデアが披露され、生活者として最もシビアな視点を持つ女性たちのリアルな意見が飛び交った。その交流を含め、約4時間にわたるセッションを振り返る。

 

 

【想定エリア】
名古屋市緑区諸の木二丁目における敷地周辺
地下鉄徳重駅から徒歩30分程度

 

 

【方法】
ステップ1.これまで考えてきた街のサービスをプレゼンテーション
前回は、鳴海で実現したい理想の暮らしで必要とされる具体的な街のサービスについて、行政やメーカーなど実際にサービスの提供側として経験ある人たちと共に考えていった。今回は、そのサービスを享受する側から意見を聞きながら、実用的な街のサービスとしてまとめてくることが学生たちへ与えられた課題だ。そこで学生たちが考えてきた街のサービスを、今度は主婦やワーキングマザー達に向けてプレゼンテーションし、グループ内で意見交換しながら内容を検証。生活者の目線から、よりリアルな方向性を見つけ出し、後半での中間発表に活かしていく。

日々の暮らしにおいて、家族での様々な決定に大きく影響するのが女性たちの現実的な意見や合理的な判断だ。前半のセッションでは、様々なバックグラウンドを持つ女性たちが、そのサービスを聞いて何を思い感じるのかを丁寧にヒアリング。一つの意見に対して、その根拠となる日々の行動や判断基準までを具体的に聞き出していった。

 

 



▲学生のプレゼンテーション。社会人の方は全ての班を回っていただきながら、意見をしていただく。

 

 


▲ヒアリングする学生たち。

 

 

 

 

ステップ2.中間報告

主婦の方たちから得た貴重な意見や要望を踏まえ、グループ内でもう一度サービスの内容を検証。さらにブラッシュアップしたものが中間発表として披露された。

<発表例>
「地域住民同士の相互扶助が自然と起こる街」
共働きや核家族化により、つながりたくてもつながれない世帯が増える中で、自然災害などの緊急時に助け合えたり、働き方改革でできた自分の時間を有効活用して地域貢献できる環境を提案。つながりと防災をテーマに2つのサービスを考えた。

サービス1:地域通貨「モロロンコイン」
ボランティアなどの地域貢献や、送迎・子守をしてもらった時などに、対価として「モロロンコイン」を渡して感謝の気持ちを表す。「モロロンコイン」は緑区の飲食店で利用できるようにする。
→社会人の意見
・地域通貨のターゲットを子供にして、親がサポートするのはどうか。
・感謝の価値は人それぞれだから、送迎時の地域通貨はこのくらいなど基準を定めると平等になるのでは。
・地域通貨の初期投資はどうなるか。登録メリットがないと行動までに至らないかも。

サービス2:防災&児童施設でつながる
幼児が安全に遊んだり、高校生が集中して勉強したり、大人がゆっくり休憩できるなど幅広く利用できる施設。地下は防災施設として電気やシャワールーム、備蓄食品などを整備しておく。

→社会人の意見から
・災害時に50世帯の全員を収容できる規模なのか。他エリアはどうかなど使える対象を明確に。
・近隣の小学校との連携は? 運営管理は誰がやるの?
・貯蓄庫が地下で大丈夫?浸水時の対応は?広場もあれば避難場所が広がり、運動やBBQなどができるのでは。

 

「緑に包まれ、心身ともに豊かで健康な街」
生活習慣病やうつ病、ワーカホリック、地域コミュニティの弱体化など、肉体的・精神的・社会的に不健康な人が増える中、それらを満たす環境を提案。本当に健康といえる暮らしを実現するための3つのサービスを考えた。

サービス1:共同農園
農作業や自然との触れ合いを通して心の健康を育む。花、野菜、子供向けの3つの農地を用意して自由に農作業に参加できるようにする。収穫祭で農作物を振る舞い、住人の交流を促す。

→社会人の意見から
・農業の技術サポートは誰がするのか。
・負担はいやだ。
・近所付き合いが面倒になりそうで不安。
・収穫物は全員がもらえるの?
・イニシシャルコストは?

サービス2:スポニック
パブリックビューイングを通して心身の健康を育む。広場に設置した野外シアターでスポーツ観戦などをして住民同士で盛り上がる。それを見ながら身体を動かしたり、ピクニックを楽しむ。

→社会人の意見から
・パブリックビューイングの企画は誰がやるの?
・お金はかかるの?

サービス3:青空スタジオ
ヨガなどのフィットネスを通して身体の健康を育む。気軽に体を動かしたい主婦の人たちを対象に、インストラクターやトレーナーを呼んで外でのびのびと運動をする機会を作る。

→主婦の意見から
インストラクターが実際に来てくれなくても、安くなるならオンライン指導などでもいいかも。

 


▲いただいた意見で再度ディスカッションしているところ。

 

 

ステップ3.最終発表に向けてまとめ
サービスを考える上で、生活者の目線はとても大事だ。今回、サービスの享受側として女性たちの様々な声を聞くことで、新たな課題や改良点が見つかった。住民が自分たちでサービスを考えていく「コーポラティブハウスの可能性」を見出したグループもあった。自分たちの見方だけでなく、別の視点から広がった見解を、どのように街のサービスに反映していくのか。この後も、12月中旬に行われる最終発表に向けてのグループワークが続いていく。最終的にどのような街のサービスが完成するのか。学生たちが考え抜いたプランを楽しみにしたい。

 

 

主催:中電不動産株式会社
協力:株式会社デンソー
企画・運営:未来デザインラボ(株式会社ラ・カーサ、1/ 千、SUVACO 株式会社)

 

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