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書店が創る社会価値

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三洋堂書店のあるべき姿を見つけよう

「本とのであいをおてつだい」を理念に、東海3県を中心に展開する三洋堂書店。街の書店として、東海圏に住む私たちにとってはとても身近な存在です。様々な知識と触れる知的活動の場となってきた書店ですが、Amazon、楽天などオンラインで気軽に本を購入できたり、タブレットや携帯端末で本が読めたりできる今、直接本を購入できる場の価値は以前のものとは変わってきているのかもしれません。

 

『今の書店に求められる社会的価値とは何か?』という命題のもと、三洋堂書店の事業内容と社会状況、現状のユーザー像を深く理解し、「あるべき姿」につながる新しいサービスやコミュニケーションを形にするべくワークショップを行いました。参加者は、三洋堂書店で働く社員3名、名古屋学芸大学のデザインプロデュース学科の富安先生、加藤先生、同学科の学生8名。

 

 

三洋堂書店の北極星(ありたい姿)を見つけよう。

まずは実際の店舗を観察し、自分の理想の書店について考え、共有しました。さらに、実際のスタッフさんにインタビューしながら、三洋堂書店の資産、自分の想い、解決したい社会課題を整理し、それらを掛け合わせたアイデアを考える『掛け算シンキング』を行いました。


▲実際のインタビューの様子。

 

 


▲学生さんの『掛け算シンキング』のプレゼンシート。

 

 

アイデアの創出と昇華

次に、『掛け算シンキング』の考えが似ている人たちを3つのチームに分け、社員の方々も一緒になってアイデアを練り、プロトタイプに落とし込みました。プロトタイプは実際に店舗でも実施し、さらに修正を加えました。
アイデアを形にして行く中で、先生からのアドバイスは”三方良し(※1)”と”ジョブ理論(※2)”の視点を持つこと。ビジネスの視点から、自分たちのプロトタイプを見直し、プレゼンテーションとディスカッションを繰り返し、アイデアを昇華させていきました。


▲ワークショップの様子。社員の方々も各チームに入り、アイデア出しを行いました。

 

 

ビジョンと3つのアイデア

こうしたプロセスを経て考えられたサービスが、『ダスポン』『MEMORIAL BOOK』『夜本』です。実際に本の帯やチケットなどのプロトタイプを作り、三洋堂書店の従業員さんの前でプレゼンテーションを行いました。


▲プレゼンテーションの様子。

 


▲名古屋学芸大学 メディア造形学部デザイン学科の「なごやVISION展」での展示の様子。

 

心を整理整頓する/『ダスポン』
インターネット、SNSの普及により、より自由に簡易に自己表現ができるようになった一方で、他人の批判にも晒されることが多くなり、以前よりもメンタルヘルスに問題を抱える人が増加していると言われます。書店に並ぶ様々な本は、こうしたネガティブな気持ちに対してヒントをくれると同時に、自己と向き合う場所にもなれるのではと捉え、起案したサービスが『ダスポン』です。
サービス内容
1)自分の気持ちを紙に書く。
2)受け皿に置く。
3)おみくじが出てくる。
おみくじの中にはオススメの本も掲載されており、新しい本との出会いがあります。

 

気持ちを確かに伝える/『MEMORIAL BOOK』
仕事で悩んだ時に背中を押された本、失恋した時に励まされた本など、悩みを解決してくれたり、ポジティブな気持ちにしてくれるのが本です。書店は、本を通じて顧客の心に寄り添い、希望を届ける場所と捉え、本を読んで感じたことを自分の身近な人と共有するサービスを提案します。
サービス内容
1)心に響いた一冊を選び、感じたことを手紙に書く。
2)本と手紙を詰め込み、 MEMORIAL BOOK のボックスに入れて、身近な人に渡す。
3)本をきっかけにお互いのことをもっと良く知る。

 

楽しくわたし探しをする/『夜本』
私たちは、学校や職場で集団生活する中で、誰かと比較したり、人の顔色を気にしたりすることが多い中、本来の『わたし』とは何なのか。本は自己の内面を広げてくれ、書店はそんな本と出会う場所と捉え、提案したサービスが夜本です。
サービス内容
1)夜本のチケットと図書カードを送り、予約する。
2)懐中電灯を片手に、夜の書店で本を探す。
3)本の感想を共有する。

 

活字離れと言われる中、意外にも若者たちの本に対する思いが終始感じられる発表でした。インターネットが普及したとはいえ、幼い頃に絵本を読んでもらったとか、進路や恋愛に悩んで本に助けられたなど、本を介した経験は大なり小なりそれぞれにあるのだと感じました。
また、それぞれの提案は『自分とは何者か?』『何ができるのか?』といった自己の存在意を問うているようにも感じます。大抵のことはインターネットで調べれば分かるのですが、調べることができないのが自分自身です。自己と向き合うことがより求められる時代の中で、生きるヒントが詰まった本はやはり重要なツールと言える気がします。
こうした本が集積し、人と人が出会う書店という場は、大きな可能性を秘めているのではないでしょうか。今後、どんなサービスが展開されるのか楽しみです。

 

 

 

 

 

※1近江商人の哲学の一つ。「商売において売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそよい商売といえる」という考え方。多くの企業の経営理念の根幹となっている。
※2「破壊的イノベーション」や「イノベーションのジレンマ」クレイトン・クリステンセン教授著。ある特定のシチュエーションで人(顧客)が成し遂げたい進歩を“ジョブ”と呼び、顧客の行動分析をする理論。
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