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第2回オープンラボ 人を虜にする未来の文化の創り方

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株式会社スマイルズの野崎亙(のざきわたる)さんをお迎えしてお話を伺いました。

入場料のある本屋「文喫」を始め、11組しか宿泊できない「檸檬ホテル」、オトナもコドモも愉しめるファミリーレストラン「100本のスプーン」、 誰しもが一度は食べたことのある海苔弁を扱う海苔弁専門店「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」など多数の企画・プロデュースを手がける株式会社スマイルズ。

これまでにあったものかもしれない、
けれども、今までとは違うインパクトを私たちに与えてくれます。

その秘密はどこにあるのでしょうか?
人を虜にする未来の文化の創り方」野崎さんのアタマの中を覗いて見よう!
ということでざっくばらんにお話を伺いました。

 

 

ーGuest Speaker
野崎亙(のざきわたる)氏
株式会社スマイルズ取締役
京都大学工学部卒。東京大学大学院卒。2003年、株式会社イデー入社。3年間で新店舗の立上げから新規事業の企画を経験。2006年、株式会社アクシス入社。5年間、デザインコンサルティングという手法で大手メーカー企業などを担当。2011年、スマイルズ入社。giraffe事業部長、Soup Stock Tokyoサポート企画室室長を経て、現職。全ての事業のブランディングやクリエイティブを統括。外部案件のコンサルティング、ブランディングも手掛ける。

 

 

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Q:「文喫」や「Giraffe」を始め、世の中に新しい価値を生み出されていらっしゃいますが、考えるうえで何か意識されているのですか?

 

A特別なことは意識していないと思うのですが、全く新しいものを作ろうと思っていないんです。それよりも、これまで存在してきたものに、違った光の当て方をしたり、見立てを変えたりすることで新たな価値を見出していく方が好きですし、得意なんだと思います。スマイルズがやっている事業は、どれももともとあった市場、業態のものばかりです。ファストフードやネクタイ事業、ファミリーレストランなど。そこに「われわれがやったらこうなる!」という見立てによって、価値を見出していくということです。新しいって、必ずしも生活者が求めているわけではないと感じています。“新しいもの”は時として誰もどうしたらいいのか想像できない、アクセスできないものになってしまうこともあります。私たちは、全く新しい妄想の塊というものよりも、生活者がこれまでの経験値から感じ取れるものを大切にしています。


 

 

 

 

 

Q:今市場にあるものから価値を見出すとは具体的にはどんなことでしょう?

 

A:今あるものの“普通”を掘り下げて理解していきます。例えば、「海苔弁」っていうと、皆さんの頭にはイメージが出てきますよね。人によっては白身魚のフライや揚げ竹輪を想像するかもしれません。個人で多少の違いはあるけれども、そこには共通の何かがあるはずです。それは悪い意味ではなく、先人たちの知恵、一般に浸透しているイメージ、良くも悪くも纏わりついているものが沢山あります。それを剥がしたい訳ではなく、それを活かしながら新しい価値を発見しに行きます。そのこれまでの海苔弁との差分こそ新しいと感じると考えています。

 

 

 

 

Q:でも掘り下げて良さを考えるだけでは、結局は市場にあるものなので埋もれていかないですかね?そこにユニークさは必要じゃないですか?

 

A普通×普通でユニークは生まれると思っています。例えば、皆さんの人生って絶対ユニーク。けれど、切り取っていくと決して特殊ではないですし、共通しているものも多いと思います。普通と普通が掛け合わさることで、ユニークさは生まれると思っているのですが、ユニークなところに目をやることではなく、自分の生活とか人生に目を向け、それを掘り下げることだと思っています。そして、本当の答えはそこに潜んでいます。無意識下で行なっていることを意識化することでそれを応用することができます。
例えば、山に登る、コーヒーを飲む、都会、全ては普通にあること。でもこれをもし「東京駅のまんまえに山を作る、そしてその山頂でコーヒーを嗜む」ような状況が起きたとき、それはもはや普通ではなくなってしまいます。そしてその山頂でコーヒーを飲むというプロジェクトは、全く普通ではありません。

 

 

 

 

 

Q:山プロジェクト是非見てみたいです!他にも今温められているプロジェクトはあるんですか?

 

A25歳でIDEEに就職して、社長のかばん持ちをしているとき、京都の三条にあるイノダコーヒーでの静謐な時間を経験しました。空調のジーという音、湯を沸かす音、新聞をめくる音、おじいさんが3人くらいで新聞を交換しながら読んでいる姿、これをいつか自分のクリエーションでやりたいとずっと思っています。

一方で、岡山にある奈義町美術館に入った時の話なのですが、入口から入るといきなり建物の外に出ます。そこには一つ目の作品があり、上には青空が見えました。そして作品の前にはベンチと灰皿が。その光景を見た瞬間に、ピンときたことがありました。おそらく喫煙者であれば「そのベンチに座って、アートを眺めながら、ゆっくりとタバコを吸う。」でしょう。美術館に入ると作品と対峙して近くから遠くから静かに見て楽しむことが一般的ですが、ベンチと灰皿があることで、その目の前にある作品との向き合い方が変わり、この空間はこれまでの美術館とは全く異なるものとなったとその瞬間に感じたんですね。

「例えば、これがタバコではなく一杯のコーヒーがあったらどうだろう?」とその時思ったんです。美術館の入口でコーヒーを渡され、「お好きなところでお飲みください。」と言われたら、これまでの美術館での過ごし方が、ガラッと変わってしまうのではないかと。つまり一杯のコーヒーがその場や状況をデザインしうる可能性があるのではないかと。現実的なところを言うと、美術館では、法律上飲食は難しいのですが、こういうものを作れると面白いのではないかと思っています。

 

 

 

 

Q:今までのお話を伺っていると、凄く感覚的に物事を捉えていらっしゃるように思いますが、合っていますか?

 

A:私たちは理論よりも思いつきを大事にしています。思いついて、後からその理由を整えていきます。思いつきは、自分の経験に基づいて出てくるものであって、今は分からないですが、そこには絶対に理由があると思っています。そして、説明できない何かに未来を感じています。それは個人性に委ねられているものであって、ユニークネスの核になります。逆に、理論がベースにあれば同じ答えに行きつくはずで、その理論が正しければ誰しもが成功しているはずです。しかしながら、実社会ではやはり成功も失敗もあり、理論だけからのアプローチでは不完全だと考えています。

とはいうものの一方で、この思い付きを言語化できないと、人には説明できないですし、共有できないために事業化することができません。

ジョナサン・ポール・アイブ (apple社のチーフデザインオフィサー)は、アクシスの雑誌の中でこのようなことを言っています。「デザイナーの一番大事な仕事は、これがいいと思ったものをなんでいいか説明するために必死に考える。いいものを出すのは当たりまえ。」これは本当にその通りだと思っています。だから、なぜこれがいいのか必死に考えます。常にフィジカルな世界から入り、フィジカルな世界とロジカルな世界を行き来します。

そして、私たちはこれをチームで行います。だからこそ、このプロセスが面白いと感じていて、会議の中でこれで決めた。これで行きましょう。」ではなく、「いいんじゃない」という空気感で決まると気持ちいいんです。プロジェクトは大体4人くらいで行うのですが、同じ情報量と経験を持って、空気感で決定していきます。必然性しかないと言う状況。理想の仕事は決めたと何かを捨てていくやり方(決断の語源は「決めて断ち切ること」)ではなく、決まったという感覚。そこには意思はあるけど、そこにいる皆の意思であって、必然性しかそこにはありません。その場で私たちはロジックに着地する前の状態であり、新しいロジックを創っているような気がしています。

 

 

 

 

 

Q:聞いているだけで大変そうですが、ワクワクもしてきました。ただ、思いつきから動いて、言語と非原語を行ったり来たりですと、決まっていたものが覆ったり、なかなか決まらないということがありますよね。インテリアデザインや空間デザインは一般的に「コンセプトを決めて細部を詰めていく」、迷った場合にはコンセプトに立ち返るということをしますが、実際にはどのような感じで動かれているのですか?

 

A最初にコンセプトを言語化しないです。言葉は一見正しいのですが、縛ってしまうことが多いとも思っています。実は言葉よりもイメージや感覚の方が情報量は多くて、最初の思考のトリガーはコンセプトを決めることではなく、イメージを集積していくことの方が大切であると捉えています。言語と非言語を行き来して、最後に決まったものがコンセプトと呼べるのかもしれないですね。

それから、順序はぐちゃぐちゃでもいいと思っています。確かに、これが決まったからこれをやろうっというのは効率が良いのですが、後から思いついたものを実行できなかったり、良いものを見過ごしたりする可能性もあります。例えば、フィールドリサーチ、ロゴデザイン、コンセプト開発、空間設計など全部を同時に動かして、良いものを選択したいと思っていて、思いつくプロセスを全部一気に行います。そして、具象と抽象をひたすら行き来します。アジャイル()もウォーターフォール()も問題からでしかことが進んでいかないこと、その進んでいく背景にはマーケティングのデータしかなく、人の感覚が入っていません。だからこそ危ういと思っています。「後から思いついた良いものができなく成る。」私たちはその方がリスクだと考えています。

(※ビジネスのフレームワーク。新規プロジェクトの開発手法。)

 

 

 

 

 

Q:感覚を大切にするとなると、出てくるイメージやアイデアもかなりバラバラで出てきそうですが、チームで纏まっていくために、デザインする上で大切にされている共通の考え方のようなものはあるんですか?

 

A:「デザインはしたくないが、デザインしないはしたくない。誠実ではありたいが、正しさを押し付けることはしたくない。」と思っていて、スタッフにも良く言っています。

先日プロデュースした入場料のある本屋「文喫」のエントランスの階段の部分に「Yes and No」というネオン菅で作ったアートワークを施しました。近年は時代観的に、YES or No を選択せざるを得ないと感じています。意見はどちらが正しいとかではなく、必ず表裏一体であり、どちらが良いかは、色々経験して自分の物差しができて初めて選択することができます。けれど、最近は一般的に正しいと言われそうなこと、考えられそうなことが、意見としてまかり通ることが多いのではないでしょうか。本当にそれは正しいのかと感じています。それよりも、お客様に選択肢を残すことの方が大切だと思っています。

また、デザインはデザイナーではなく、使う人がするものだと考えています。
例えば、階段は座れば椅子。けれども作っている人からすると階段。使う人の手に渡ったらどう変わるのか?デザインの主体は誰?どう文脈を紡ぐかは使う人(お客様)に委ねられていて、解釈にはそれぞれあります。かといって真っ白すぎるキャンバスを置くことは、却って使い方を理解しづらいものにしてしまいます。余白を作ることと同時に、ある程度の意思を置くことが大切であり、その塩梅がセンスだと思っています。

 

 

 

 

特別編
講演を終えてインタビュー


 

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モノからコト消費への時代となり、企画する人の考え方も変わるべき時だと感じています。野崎さんたちは、多くの人にフィットする「マーケティング」ベースのモノづくりではなく、感覚重視の新たな創造をなさっているのだと思います。

また、感じ方をお客様へ委ねていることも新鮮でした。「お客様に自分で自分の文脈を紡いでもらう。」講演会の中で何度か耳にしたコメントです。この言葉には、個人が『自由に感じる』、『選びとる』幸せがあるように思います。
SNSができて個人の意見を自由に述べることができるのにも関わらず、却って反応を気にしたり、多数決で決めることが多いためか大衆意見が正しいという考えに流されがちですが、各々が自分の物差しで、自分の責任で選ぶという、社会のあり方についても考えさせられる内容でした。

 

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